(リ)コンディショニングメモ

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トレーニング 指導関連 考え方

筋トレで鍛えた筋肉は使えない?

2018/08/25

筋トレで鍛えてもスポーツには活かせない?

「使える筋肉・使えない筋肉」

「筋トレで鍛えた筋肉は、スポーツには使えない」といった話題は昔からよくありましたし、いまだに見聞きすることがあります。「筋トレ」という言葉に対するイメージが、人によってそれぞれ違うと思いますが、そういうセリフを言う人のイメージはどんなものでしょうね。

「筋が肥大して関節可動域が狭くなるから、身体が動かしにくくなる」「筋トレはスポーツの動きとは違うから、汎化出来ない」といった理由なのでしょうか。

最近は、レジスタンストレーニングに取り組むアスリートが取り上げられる機会が増えたように感じます。ビッグ3と呼ばれる、「スクワット」「デッドリフト」「ベンチプレス」をベースとしている人もいるようです。もちろんビッグ3が最良の選択肢と考えているわけではないと思います。

スクワットの効果?

スクワットを例に考えてみます。スクワットを行うには、身体の大部分の筋を動員する必要があります。トレーニングの原則に従って行うとすれば、動員する筋の筋力は向上していくと考えられます。

直接的な効果を考えれば、何をする筋力が向上するかと言えば、第一にスクワットをする為の筋力と言えます。もちろん負荷や回数や挙上速度など、さまざな変数の調整がありますし、パワーや筋持久力といった体力要素も関係します。

また、スクワットを行うことによって、スクワットという運動を学習していくことでもあります。骨、筋、腱、靭帯といった組織への影響など色々ありますが、今回は省略します。

スクワットを適切に行うことで、スクワットが上手くなっていきます。「スクワットが上手くなっても、スポーツには関係ない」と考えて、否定する人もいるかも知れません。こういった話は、どこを観て考えるかによって、大きく違ってくると思います。

トレーニング動作とスポーツ動作の共通点?

ある運動(スクワット)とある運動(あるスポーツの動作)の違う部分を挙げようとすれば、たくさん挙げることが出来ます。同じスクワットという種目でさえ、フォームは色々あるわけですし、もっと少し細かい話をすれば、10reps遂行するとすれば、10回とも違う可能性があります。

では、もう少し大きく観た場合、スクワットと、あるスポーツの動作に共通することは何かと言うと、ひとつは「身体を動かす」つまり「身体運動」ということです。

こう書くと当たり前ですが、基本動作、レジスタンストレーニング、スポーツ、仕事、家事といったものに全て共通していると言えます(身体を動かすと言っても、ダイナミックに動く部分のみを指しているわけではありません)。そういう観方をすると、スクワットもスポーツも共通しています。

運動感覚を養うという観点で考えると、トレーニングにしろ、その他の身体運動にしろ、雑にがむしゃらに行うのではなく、運動を適切に制御するということが重要だと考えられます。

スクワットの適切なフォームというのは、個々の身体的特徴や状態、目的などの違いによって変わりますが、多くの場合は出来る限り傷害のリスクを減らすという安全性の観点を含むものと考えられます。局所的に過度なメカニカルストレスが加わらないフォームで行うことが求められます。

安全なフォームで精度の高いトレーニングを行う?

目的に合った安全なフォームを実現する為には、適切なフォームを身をもって知る必要があります。思った通りに動く為には、実際の動きと感覚が一致する必要があります。わずかなズレを知覚して(自動的な部分も含みます)、適切に修正する能力が必要になります。

そのように考えていくと、スクワットとスポーツのひとつの共通点が見出せてきます(個人的には)。必ずしも高重量で行うことが必要というわけではないですが、わずかなズレが傷害の大きなリスクになりますから、適宜適切な対象への内的注意、その引き金となる感覚を知覚すること、運動を調整する能力が必要となります。

また自体重だから高重量より簡単かと言えば、感覚の刺激が少なくなるわけですから、一概には言えない面もあるかも知れません。

そのように考えていくと、フォームを気にせずガムシャラに行うスクワットでは、運動の精度としては低くなりやすいですから、「スポーツに活きない」かも知れません。あくまで、かも知れません、です。

レジスタンストレーニングに多くを求めない

そもそも、スポーツのパフォーマンス向上のために、必要な要素を取り上げて、その要素を向上させる上で、より安全で効率的で効果的な方法を選択するという話だと思います。

言い換えれば、スポーツの練習を行うだけでは、ある要素を向上させるという意味では効率的ではないから、例えばそれが筋力やパワーといった体力要素であれば、レジスタンストレーニングを選択することが効率的ということで選択するということだと思います。

ですから、スポーツ動作そのものに近づけることは、反対に効率が悪いということになるかも知れません。全てが中途半端になり、何の要素も向上しないという事態も考えられます。

こういった話はレジスタンストレーニングに限った話ではなく、ある運動パフォーマンスを向上させる上で、運動そのものを繰り返すだけでは、問題となる部分に効率的にアプローチ出来ない場合は、運動そのものを繰り返す以外の方法も取り入れることがあると思います。

それでいて、運動そのものに近づけようとすれば、そもそも何の為にその方法を取り入れたのかという話になってきます。もちろん、運動学習の観点から如何にして統合していくかということは考える必要があると思いますが。

いわゆるメディカルの専門職が気をつけること?

何かしらの障害を来しているケースを担当することが主であれば、いわゆるマイナスからゼロへ近づけるという感覚を持っている人も多いかも知れません。

アスリートの身体能力は一般人より遥かに高い

いわゆる一般人が障害を来している状態を基準にすると、アスリートの遥かに高い能力を見誤る可能性があります。ゼロどころがかなりのプラスにしていく必要があります。

この「遥かに高い能力」という部分を過小評価して、「高重量は危険だ」「筋トレは怪我の元だ」と考える人も一部ではいるように感じます。そうすると、本来有している能力の遥か下のレベルで、体幹トレーニングやファンクショナルトレーニング(それ自体を否定しているわけではありません)といったことを推奨することもあるかも知れません。

こういったことも結局は、何の為に行っているのかよくわからないという事態になる可能性があります。念のため断っておきますが、メディカル側がそうであるという意味ではありませんが、アスリートの能力の高さと、実際のスポーツの激しさ(スポーツによりますが)を理解しておく必要があると思います。

反対に、メディカル側だからこそ、観えることや出来ることがあるわけですから、もし様々な専門職がチームとして活動するのであれば、コミュニケーションは必須となると思います。

まとめ

細かく考えていくことが必要なことも当然ありますが、運動という観点、それをどのように調整していくか(いるか)ということ、そういう視点もあって良いのではと、個人的には考えています。そもそも、「筋肉」を主役にして考えていくこと自体、無理があるように思います。この辺りはまた触れたいと思います。

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