(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

トレーニング 考え方

#93 メディアで見るアスリートのトレーニングについて

メディアにとって話題性が大事?

メディアがアスリートのトレーニングや食事の話題を取り上げることがありますが、メディアにとっては見てもらう必要がありますから、どうしてもインパクトのある伝え方をすることも多いように感じます。

その話題をその専門職が見ると、「なんだかなー」と感じることもあると思います。これはそれぞれの立場を考えると、どちらも仕方ない部分もあると思います。

例えば、アスリートがベーシックなレジスタンストレーニングを行っている場面より、何だか珍しいツールを使ったり、見たことのないような動きをしている方が、目を引くと思います。

トレーニング指導の専門職からすれば、例えベーシックなレジスタンストレーニングであっても、フォームなどに関心が行くかも知れませんが、そうでない人なら、「ああスクワットね、普通やね」と感じるかも知れません。

それなら、サーカスみたいなことをしている方が、「すげえバランス能力、さすがアスリートは違う!」と目を引き、話題になりやすいかも知れません。

ちなみに、あるアスリートは、「あれはメディア向けですよ」と仰っていたことがありました。もちろん全てがそういうわけではありませんが、そういうケースもあるということですね。

ライバルに差をつける

アスリートの立場で考えると、本当に効果があると実感していることを、わざわざ公表するメリットがあるのかという視点も考えられます。

例えば、レジスタンストレーニングをしっかりやっていると、明らかに良い効果を実感しているアスリートがいるとして、わざわざ公表しないこともあるかも知れません。

それよりも、体操、ウォーミングアップ程度のエクササイズを、「このトレーニングに出会って良かった!!」とか笑顔で言ってる方が、手の内を知られることもないですし、爽やかな印象を与えますね(そうか?)。

ただ有名なアスリートになればなるほど、影響も大きいですから、そういった内容が拡散されていくことを危惧する専門職の立場もあると思います。

もちろん、取り組みを公表しても、別に構わないというアスリートもいると思います。色んな人がいるのは当然ですが、メディアからの情報は娯楽として楽しむくらいがちょうど良いのかも知れません。

個別性の話

コンディショニングは原理原則はあれど、個別性があります。例えば、A子さんが腰痛で悩んでいるとして、それを理学療法士が体操を教え、それを行うことで腰痛に悩まされることはなくなったとしましょう。

腰痛が改善されたことに感動したA子さんは、腰痛に悩んでいるB子さんに、「この体操したら良くなったのよ!あなたもしなさい!」と教えたとして、果たしてB子さんの腰痛はどうなるかということです。

腰痛が改善するかも知れませんし、全く変わらないかも知れませんし、むしろ悪化するかも知れません。当然ですが、理学療法士はA子さんに適切であると考えた方法、つまりこの場合はある体操だったわけですが、それがB子さんに適切かどうかは全くわかりません。

また、仮に偶然にも適切な体操だとしても、フォームやスピードや回数といった変数が適切でないということも考えられます。

「ある体操=腰痛を改善させる体操」ではないわけですが、これは取り上げ方によってはそのように受け取られる可能性が大いにあります。

また、A子さんのように個人の経験から、そのような思考になるということもあると思います。「スクワットをしたら腰を痛めたから、スクワットは腰に良くない」という話も、同じようなことだと言えます。

アスリートのトレーニングにしても、C選手にとって必要なトレーニングを、メディアが取り上げたことに対して、「あのトレーニングをすればC選手みたいになれるのか!」というのも、「あんなの意味がない」と否定するも、どちらも適切な判断ではないかも知れません。

大まかな内容、偏った内容になるのは仕方ない?

メディアが一般向けの内容で、C選手固有の詳細に触れ、専門的な説明とともにトレーニングを紹介することは、あまりないと思います。もちろん興味のある人もいるでしょうけど、例え小さな違いでも大きな違いであると感じる専門職と、大まかなカテゴリー分けをする一般の人(専門外の人)とのギャップは大きいですね。

わざわざ詳細を公表するメリットがあるかという話は書きましたが、例えば格闘技の選手で弱点の部分をわざわざ公表するかと言えば疑問ですし、当たり障りのない内容になってもおかしくありません。もちろんメディアを利用した戦略ということも考えられるわけですが。

まとめ

メディアは娯楽程度なので、デタラメやトンデモでも構わないという意見ではありません。ただ、メディア、アスリート、専門職、一般の人(専門外の人)という、それぞれ立場が違うという前提で考えると、見え方もまた違ってくることもあるのではと考えています。

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