(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

用語の定義 考え方

#1 コンディショニングとは?

2018/01/07

「コンディショニングとは?」と言っても、いくつかの意味がありますが、ここではNSCA JAPANのホームページに記載されている定義を引用します。

コンディショニングとは

■NSCAによるコンディショニングの定義

『コンディショニング(Conditioning)とは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えることです。また、一般の人々にとっては、快適な日常生活を送るために、筋力や柔軟性、全身持久力をはじめとする種々の体力要素を総合的に調整することです。』

NSCA JAPANのホームページより

■コンディショニングは特定の手段を指すわけではない

ちなみに私は理学療法士なので、理学療法の対象者も含めて考えています。NSCAの定義を参考に考えると、特定の手段を用いることを「コンディショニング」と呼ぶわけではないと言えます。徒手療法や鍼などの手段を「コンディショニング」と分類していることもあるようですが、それはコンディショニングのための手段のひとつということになります。

もちろん、NSCAの定義が唯一無二であるというわけではありませんが、手段の目的化に陥らないためには参考になる定義だと思います。例えば、徒手療法をすることがコンディショニングであるとすれば、徒手療法という手段を用いることが目的になり得るということです。

言い方を変えると、コンディショニングは徒手療法を用いることで出来ると考えるかも知れないということです。そうなると、徒手療法で変化させられるものだけに目が向くようになるかも知れません。

レジスタンストレーニング、ストレッチ(スタティック、ダイナミック、バリスティック…)、体操、ボディワーク、徒手療法、鍼など、これらの数ある手段は全てコンディショニングのための手段であると言えます。このような手段をさらに細かく分類することも出来ますが、コンディショニングのための手段のひとつには変わりありません。

コンディショニングの柱

■魚住先生によるコンディショニングの柱

魚住廣信先生の著書(スポーツトレーナー虎の巻,4-5.NAP Limited,2009.)では、コンディショニングの柱として、

「身体的」

「防衛的」

「精神的」

「栄養」

「休養」

の5つを挙げています。これを参考に考えても、やはり特定の手段をコンディショニングと呼ぶのは、かなり狭義的かと思われます。これら全てが独立しているわけではなく、それぞれ関係し合っていると考えられます。

リカバリーの重要性

■リカバリーはコンディショニングの一部

「トレーニングとリカバリーはセットだ」という人もいるように、リカバリーは重要です。

リカバリー期の重要性が誇張されすぎるということはありえない。アスリートのリカバリーの必要性を尊重できないと、不適切な疲労の蓄積につながり、結果的に作業負荷耐性やパフォーマンスの低下だけでなく、怪我のリスクの増加や認知的、およびいらいら、集中困難、睡眠不足など気分的障害がもたらされ、オーバートレーニング状態にいたる可能性がある。

Christophe Hausswirth et al:リカバリーの科学. 長谷川博, 山本利春(監訳), Nap Limited, 2014.

リカバリーを専門とする?専門職を「コンディショニング系」と分類するケースもあるようですが、リカバリーの手段は多様です。もちろん便宜的な分類だと思います。

コンディショニング系とトレーニング系?

「コンディショニング系」と「トレーニング系」といった分類を見聞きします。便宜的にそのような分類をしているのでしょうから、それ自体が良い悪いという話ではありません。

しかしながら、言葉が独り歩きして、狭義のコンディショニングに捕らわれてしまうと、強引な線引きによって対象者の広義のコンディショニングが適切に、円滑になされないというケースも想定されます。

例えば、各専門職がチームとして連携する場合、「私の専門はこれなので他は関係ない」といったこともあるように思います。私は理学療法士なので、作業療法士や言語聴覚士と同じ患者さんを担当することもよくありますが、「私の専門はこれなので他は関係ない」は通用しません。

同じ対象者を完全に分けられるはずもなく、それぞれの専門性を持ちながらも、上位概念を共有する必要があると思います。つまり、対象者がどうなることが望ましいかということを、もちろん対象者を含めて確認、共有することが重要だと思います。

そうすることによって、関わる専門職であれば、自身の専門性を活かしながらも、自身の専門性に捕らわれない視点を得られるかも知れないと考えています。この例は広義のコンディショニングであろうと、それよりも広い話になりますが。

まとめ

メディアで取り上げられるような、インパクトのある手段も、コンディショニングのための手段のひとつだと考えれば良いように思います。「これさえやればOK」といったケースは、NSCAの定義や魚住廣信先生のコンディショニングの5つの柱を参考にすれば、そんなになさそうだと感じられます。

「木を見て森を見ず」とは、故マトヴェーエフ博士も仰っていたようですが、そうならない方法のひとつとして、コンディショニングの捉え方があると思います。

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