(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

トレーニング 考え方

#101 自体重のトレーニングは優れているのか?

2018/01/10

バーベルやマシンは意味がない?

 

「バーベルやマシンを使用しなくても、自体重のトレーニングでも工夫すれば、ちゃんと負荷をかけることが出来る」といった話があります。この言葉だけだと具体的に何を指しているのかよくわかりませんが、まあ、ある程度のレベルまではそうかも知れないなと思います。

ただ時々、「バーベルやマシンなんかを使用しなくても~」というように、バーベルやマシンを「そんなもの」扱いをするような文脈の言葉も時々見聞きします。こういった主張を何故しているのか探ろうとしても、個人的には結局よく分からないことが多い気がします。

個人のポリシーレベルの話?

「自分の身体ひとつでトレーニングすることが正しい」とか、「バーベルやマシンといった道具を使わず、身体操作の能力を養うことが大切」といった、個人のポリシーレベルの話を普遍的なことのように主張しているものも、あるように感じます。

しかしながら、バーベルやマシンを使用することのネガティブな影響について、個人的には説得力のある理由は見かけません。マシンは例えば、サイズが合っていないことによって、スムーズな関節の動きが阻害されることはありますが、それはマシンが良くないというより、ただ合ってないという話です。

身体操作が大事?

「筋トレで鍛えた筋肉は硬くて使えない」「筋力より身体操作が大事」…といった話題については、過去にも触れているので、ここではあまり言及しません。今回の記事の流れで書くと、バーベルやマシンを使用しようが、身体操作だろうというくらいです。

 

工夫はもちろん大事

環境に合わせた工夫

「バーベルやマシンを使用しなくても、自体重のトレーニングでも工夫すれば、ちゃんと負荷をかけることが出来る」といった話をする場合、例えば「バーベルやマシンがない環境であっても」という文脈であればよくわかります。

「バーベルやマシンがないから、筋トレが出来ない」という発想ではなく、「自体重でも工夫すれば色々なことが出来ます」といった発想が、専門職にとって必要だと思いますし、腕の見せ所であると言えます。

あるなら使えば良いのでは

しかし、バーベルやマシンを使用出来る環境であるにも関わらず、自体重のトレーニングに拘る必要はないように思います。バーベルやマシンを使った方がより効率的、効果的なのであれば使用すればよいという話です。

自由度が高いトレーニングが出来る?

自由度が高いから良い?

「自体重のトレーニングの方が、自由な動きが出来るから優れている」という主張もあります。確かに例えば、体操の床運動を思い浮かべれば、それは自由にダイナミックに動いているように見えます。

バーベルを担ぎながらあのような動きをしようとしても、かなり動きは制限されます。そりゃそうだという話ですが、結局は目的の話に落ち着きます。

よりダイナミックな動きをするのであれば、バーベルを担がずに動く方が自由度も高くなります。自由にダイナミックに動くことが目的なのであれば、自体重のトレーニングの方が適切かも知れません。

何を目的としているのか

しかし、筋力を効率的、効果的に向上させるためには、漸進性の原則、過負荷の原則を考慮する必要があります。いくら自体重のトレーニングを工夫したとしても、あるレベルに到達すれば、少なくとも筋力という要素を向上させる為の方法として、自体重のトレーニングはよりベターな選択かと言えば、そうではないかも知れません。

何故レジスタンストレーニングを行うか?

例えばアスリートがレジスタンストレーニングを行う目的としては、傷害予防やパフォーマンスアップのためのベースとしての筋力やパワーといった体力要素の向上が挙げられると思います。

ですから、自由にダイナミックに動くことが主目的ではなく、筋力やパワーを効率的、効果的に向上させるという目的で導入することが殆どだと思います(除脂肪体重の増加、骨強度の増加など色々あるかも知れませんが)。

そのように考えると、「自分の身体ひとつでトレーニングすることが正しい」とか、「バーベルやマシンといった道具を使わず、身体操作の能力を養うことが大切」といった主張は的外れとも言えます。もちろん文脈によるわけですが、あまり論理的なものは見かけない気がします。

まとめ

トレーニングに限らずですが、「道具を使用しない方が良い」という前提があるかのような主張を時折見聞きします。例えば「物理療法機器を用いるよりも徒手が優れている」といった主張です。

道具がなくても工夫するということは必要だと思いますが、道具があって適切に使用すればより効果が期待出来ることもあるわけですから、わざわざ選択肢を限定する必要性は感じません。

「道具を使うか使わないか」ではなく、「目的を如何にして達成させるか」という視点で考える必要があると思います。「道具を使用しない方が良い」という根拠を論理的に説明出来なければ、個人のポリシーの話であり、対象者にとってより役立つかという視点が欠落しているようにも思えます。

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