(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

雑感 指導関連 考え方

#110 ネガティブなことを指摘する仕事?

2018/08/08

筋力が弱いから筋トレをしましょう

ネガティブ?ポジティブ?

「筋力が弱い」ので「筋トレをしましょう」、「姿勢が悪い」ので「姿勢を改善しましょう」という提案が正しいとか間違っているという話ではありませんが、「弱い」「悪い」というネガティブな印象のある言葉で、行動を起こさせる方法があります。

当然のことながら文脈によりますから、例えば「○○を目的とするのであれば、筋力がまだ弱いですから、筋トレをしましょう」という提案も考えられます。この場合は、筋力が弱いというネガティブな印象がある言葉でも、対象者の目的達成のためというポジティブな動機が前提としてあります。

表現を変えると印象も変わる

もう少し表現を変えてみると、「弱い」という言葉を「不十分」とすると、また印象も違ってくるかも知れません。また、「弱い」という言葉に奮起するようなタイプの対象者であれば、あえて「弱い」という言葉を選択することも考えられます。

患者さんであっても、「弱い」という言葉に奮起する方もいるでしょうし、落ち込む方もいると思います。同じ対象者であっても、「右脚の筋力は弱いですね」という表現もあれば、「左脚の筋力は強いですね」という表現も考えられます。

それ以外には、「右脚の筋力が強くなれば、なお良いですね(目的達成において)」という表現もあるでしょうし、表現を変えることで印象も随分違ってきます。もちろん、筋力の話をしないこともあるでしょうし、要するにケースに応じて言葉の選択を考えるということです。

対象者の目的を無視した提案

歪んでますよ?

「骨盤が歪んでいますから、このままではマズイですよ」と、ここまで露骨な表現はそれほどないかも知れませんが、一方的にネガティブなことを突き付けて、それを解消をしましょうというのは、対象者の目的を無視した提案と言えるかも知れません。

そもそも「骨盤が歪むとは?」「具体的にどうなるの?」ということも、発言者はちゃんと説明出来なければ詐欺に近いように思います。

シェイプアップ目的で整体を受ける?

フィットネスクラブにシェイプアップ目的で入会した会員さんに、「身体が歪んでいますから、筋トレよりまずは身体調整が必要です」と言って、整体?を延々とするケースがあるとしたら、どうなんでしょうね。

もちろん、それで会員さんが目指す身体に近づくのであれば、会員さんも納得するかも知れません。そうではなく、一方的に課された課題に対して整体?を延々と受けることになれば、当初の積極的な動機がトーンダウンするかも知れません。

【参考記事】

#105 身体の歪みや左右差をどう考えるか?

「なりたい」と「なりたくない」

したい or したくない、なりたい or なりたくない

「出来るだけ長く、趣味の山登りを続けたい」「メリハリのある身体になりたい」といった、「○○をしたい」「○○になりたい」という動機もあれば、「病気になりたくない」「太りたくない」という動機もあります。

どちらが良い悪いではありませんが、後者はどちらかというとネガティブな動機である以外に、イメージがし辛いということがあるように思います。「太りたくない」という動機であれば、どのような身体になりたいかというイメージがないかも知れません。

目標の鮮明度

つまり「太りたくない」というのは目的にはなるかも知れませんが、目標としてはぼんやりしているので、具体的にどう取り組むのかということが見え辛いかも知れません。

一方、「こんな身体になりたい」という目標があれば、食事や運動に関する具体的な取り組みが見えてくると思います。

最後に

「したい」「なりたい」という動機を持っている人に対して、ネガティブな部分を指摘して改善すべきと課題を与えるよりも、「したい」「なりたい」という動機を活かして、目標に対してより適切な手段を提案する、提供する方が良いことが多いと思います。

疾患などの予防はもちろん重要ですが、予防も「○○にならない」というものです。「○○にならい」ということがメインというよりも、「どうしたいか、どう生きたいか」という部分が大切なように思います。

「したい」「なりたい」の取り組みによって、結果的に予防を兼ねているのであれば、その方が動機づけとしては続くかも知れません。予防医学というと何となく権威がありそうですが、体を育む体育という言葉の方が適切なことも多いと個人的には感じます。

具体的なケースに迫ると、このような単純な話ではありませんが、少なくともネガティブなことを指摘して改善するよりも、「したい」「なりたい」の取り組みの結果として、ネガティブなことが改善するような方法を模索することは、意味があるのではと考えています。

(※ネガティブなことに目を向けない、無視をするという意味ではありません。臨床では厳しい現実を直視せざるを得ないことも多々ありますが、少しずつ前を向いて進むにはいつまでもネガティブなことに引き込まれないようにすることも必要だと思います。)

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