(リ)コンディショニングメモ

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パーソナルトレーナーに医療系の資格は必要か?

2018/08/21

ジムトレーナーとパーソナルトレーナー

パーソナルトレーナーの定義?

パーソナルトレーナーと言っても、今は多様化しているように思いますが、”1 on 1”でトレーニングを指導する専門職を指すことも多いかも知れません。

しかしながら繰り返しになりますが、”1 on 1”で「何をするか」という部分は多様化していると思います。そもそも「トレーナー」「トレーニング」という言葉自体が色々な意味を持っています。

ジムトレーナーとパーソナルトレーナーの違い

ここではわかりやすく、フィットネスクラブを例に考えると、ジムスタッフ(ジムトレーナー?)は、ひとりの会員さんに付きっきりで指導することは、利用者数やスタッフ数、パーソナルトレーナーとの差別化などによって、難しいことが多いと思います。

一方で、パーソナルトレーナーであれば、その内容や割合は様々であるとしても、60分なり90分なり、一定時間は付きっきりで指導することが出来ます。

ジムスタッフであれば様々な制約上、マシンの使い方の説明に終始することもあるかも知れませんが、パーソナルトレーナーであれば会員さん(クライアントさん)の目的や目標など、個別性を考慮するために必要な情報を得る時間を確保します(契約前の段階を含む)。

もちろんジムスタッフであっても、それらのプロセスを経ることは出来るかも知れませんが、パーソナルトレーナーと比較すれば制約が多いということです。

会員さんは何を目的に入会しているか?

入会時のアンケートに目的を記入するクラブもありますが、利用者の立場からすればデタラメとは言わないまでも、適当にチェックすることもあると思いますが、こちらも適当に思いつくことを羅列してみます。

・ボディメイク

・体力向上や健康増進(ぼんやりしていますが)

・競技力の向上(ボディビルやリフティングを含む)

・医師などに勧められた

・腰痛などを改善したい

・気分転換やストレス解消

・親しい(親しくなりたい)人との交流

あくまで適当に思いついたことを書いただけなので、厳密性は全くありません。フィットネスクラブはトレーニングジムのみならず、スタジオやプールなど施設によって様々なスペースがありますから、主に利用するスペースの違いは目的の違いがあるかも知れません。

今回はジムトレーナーやパーソナルトレーナーを取り上げていますので、トレーニングジムについての話として進めていきます。

医療系の資格は必要か?

さて前置きが長くなりましたが、「パーソナルトレーナーに医療系の資格が必要か?」という話をすれば、まずは「どのようなクライアントを想定しているか」ということを考える必要があると思います。

パーソナルトレーナーとして活動する上で、大手のクラブにおいてはパーソナルトレーナー関連の資格(NSCA、ACSM、NESTA、JATI、NASM…などなど)と、CPRの認定を受けていること(そもそもCPRの認定がないとパーソナルトレーナー関連の資格を取得・継続出来ないことが多い)が条件になっていることが殆どだと思います。

医療系の資格は必須ではない

ですから、医療系の資格は必須ではないということです(必須にしているクラブもあるかも知れません)。仮に鍼を使用するのであれば、鍼灸師(はり師)もしくは医師の資格が必須となりますから、「どのようなクライアントを想定しているか」だけでなく、「何を行うのか」も考える必要があります。

そもそも、「医療系の資格」と言っても範囲が広すぎるので、どれでも良いけどとりあえず、という話にはならないと思います。

実際は、例えばレジスタンストレーニングを指導するための必須資格はありませんし、質の違いは当然あるにしろ、クラブの認めているパーソナルトレーナーの資格とCPRの認定があって、契約の基準を満たせば活動出来ます。

どのようなクライアントを想定しているか?

もう一度、思いつくものを適当に羅列した会員さんの目的を挙げてみます。

・ボディメイク

・体力向上や健康増進(ぼんやりしていますが)

・競技力の向上(ボディビルやリフティングを含む)

・医師などに勧められた

・腰痛などを改善したい

・気分転換やストレス解消

・親しい(親しくなりたい)人との交流

医療系の資格が必須になるケースの例については前述しました。ですから、上記の会員さんの目的のいずれも必須とは言えないと思います。便宜上そういうストーリーで展開しています。

医学的な知識があった方が良いとすれば、「医師に勧められた」「腰痛などを改善したい」ということになるかも知れませんが、本当に医学的介入が必要なのであれば、医療機関に任せるべきです。

具体的な指示のない「医師に勧められた」ケースであれば、多くの場合はリスクが高くないということかも知れません。もちろん状況によって確認すべきことはあると思います。

「腰痛などを改善したい」ケースであれば、まず受診したかどうかの確認と、運動の許可が必要になります。受診せずに「腰が痛いんです」「では腰痛改善に取りかかりましょう」は、結果的に悪化した場合を想定すると、明らかにリスクが大きいと言えます。

フィットネスクラブにおいて、医学的な知識は、「改善」するためというよりも、「リスクマネジメント」のためのものと言えるかも知れません。

治療する立場ではありませんから、クライアントさんの目的・目標を達成するための手段、そのひとつがレジスタンストレーニングだとすれば、出来るだけ安全に、そして効率的・効果的なトレーニングを指導する上で、医学的知識を活用するということです。

運動が許可されているケースでも、既往歴や既往症に関する知識の程度の差は、リスクマネジメントの程度に繋がるかも知れません。医療系の資格があるからといって詳しいとは限らないですから、適宜確認する、調べるという作業で補えることは多いと思います。

医療が上位というわけではない

何らかの医療系の国家資格を取得することを考えると、学校に入学し実習を含めて卒業基準をクリアし、国家試験に合格するというプロセスがあります。

一方で、パーソナルトレーナー関連の資格は、取得すること自体はそれほど基準が高くないと言えると思います。しかしながら、スポーツ科学や体育学の学校で学んで取得する人もいれば、それらとは関連性の低い学校、もしくは高卒で取得する人もいますから、単純に資格を比べるだけの作業はナンセンスだと思います。

(余談ですが関連性の低い学校や高卒であっても、実力のある人を何人も知っていますから、優劣の話をしているわけではありません)

そもそも、想定する対象者が違うわけですから、医療系の学校でフィットネスクラブに通うような対象者を想定した教育を受けるかと言えば、多くの場合はそうではないと思います(予防医学といった領域はあるにしろ)。

ですから、医療系の資格が上位かどうかという話ではなく、想定する対象者が違う、役割や立場が違う、そのように考える方が自然なように感じます。

医療系ではない領域の専門職がコンプレックスを抱く必要は全くないですし、それぞれの専門職がそれぞれの立場で、時に協力しながら活動すれば良いのではと考えています。

これはあくまで個人的な意見ですが、医療系ではない領域の専門職が、「予防医学」だとか「運動療法」"Exercise is Medicine"というような表現をわざわざ使う必要はない(ことが多い)と思っています。

「これはリハビリでも行われているエクササイズです」といったセリフもそうです。「医療機関などで実践されているから良い」というニュアンスで表現する必要はないと思います。例えば(身)体を育む「体育」といった視点で良いのではと感じることがあります。

私は現在は理学療法士という立場で医療機関で働いていますが、例えば新卒の理学療法士がフィットネスクラブで働くとして何が出来るかと言えば、特に何も出来ないと思います。

オーバーラップする領域

「基礎知識」という表現は文脈によりけりであって、必ずしも「解剖学」「運動学」「生理学」といった学問を指すわけではありません。しかしながら、同じ人間を対象とするのであれば、そういったものは医療系にしろ、そうでないにしろ、オーバーラップする部分が多くあるはずです。

あくまでただのイメージですが、4年制の大学があるとして、1回生は基礎となる共通の講義を受けて、そこから各専門領域を本格的に学んでいくとすれば、共通知識、共通言語が生まれることになります。そうすべきという話ではなくあくまで例ですけど。

最後に

「パーソナルトレーナーに医療系の資格は必要か?」と言えば、どのようなクライアントを想定しているかということはあるにしろ、フィットネスクラブは医療機関ではありませんし、多くの場合は必要とは言えないと思います。

医療機関で勤務している(していた)経験を活かすという視点であれば、対象者によってはそれが良い結果に繋がることはあるはずですが、「知識はあった方が良い」程度のぼんやりしたものであれば、「必要」とは言えません。

医療系の資格があるからといって上位ではありませんし、どのようなクライアントを想定しているか、そして「何が出来るか」ということが問われると思います。それをどのように打ち出すのかという問題はまた別にあるでしょうけど、今回はここまでということで。

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