(リ)コンディショニングメモ

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太ったパーソナルトレーナーのダイエット指導について

2018/08/21

今回の記事が指す「パーソナルトレーナー」は、話を整理するために、ボディメイクに関する指導者ということで進めていきたいと思います。

体型と価値観について

太ったパーソナルトレーナーのダイエット指導

「太ったパーソナルトレーナーがダイエット指導なんて説得力がない」といった話は、昔からよく見聞きします。これは同業者であっても一般の人であっても、同じような意見を持っている人はいるようです。

一般の人からすれば、自分が指導を受けたいと思うパーソナルトレーナーを選べばよいという話であって、そう感じる人であれば、自分が憧れる、目指す体型のパーソナルトレーナーを選ぶのだろうと思います。イメージがしやすいという意味でも有効かも知れません。

同業者からすれば、「あんな体型のパーソナルトレーナーではなく私を選ぶべき」という人もいるかも知れません。商売として考えた場合、選ばれる必要がありますし、そのための自分にとって有利な「パーソナルトレーナー選びの基準」の提示なのかも知れません。

もちろん、色々な考えがあって然るべきですし、良い悪いという話ではありません。そもそも個人的な想像ですから、もっと様々な意見があるはずです。

太っているという基準

どういった基準で「太っているかどうか」を判断するのかといえば、体重と体組成を確認出来るケースはそう多くないでしょうし、主観によるものが大きいと思います。ということは、かなり幅があるかも知れません。

これは、「マッチョ」とか「ガリガリ」というのも同様だと思います。一時期よく聞かれた「ゴリマッチョ」とか「細マッチョ」といった、より細かな分類もバラツキが大きいと言えます。

体型に良し悪しをつけるリスク

体型の分類はいいとして、個人的には、体型に良し悪しをつける価値観は危険だと思います。自身の体型について「もっとこうなりたい」というのと、その価値観で他人を評価してネガティブな指摘をするのでは、全然違ってくるわけです。

他人が気にしていることをわざわざ頼んでもいないのに指摘する、気にしていなかったことについて指摘する、そのどちらであっても大きく傷つける結果になるかも知れません。また、体型と人格を結びつけるような発言があるとすれば、それはさらに大きなものになるかも知れません。

メディアでもダイエットは毎日のように取り上げられていますから、知らず知らずの内に体型に関する価値観の影響を受けている可能性があります。

パーソナルトレーナーの体型と説得力について

説得力とは?

「太ったパーソナルトレーナーがダイエット指導なんて説得力がない」というセリフを考えてみると、恐らくは「自分自身の身体を変えられないのに、クライアントに指導出来るのか?」という意味が含まれていることが多い気がします。

本当にそうであれば一理あると言えるかも知れませんが、そのパーソナルトレーナーは特に変えたいとも思っていないケースもあるでしょう。「これくらいが自分にとってちょうど良い」と感じているかも知れません。

本来は説得力云々よりも、結果で納得してもらうというのが、パーソナルトレーナー側として重要なことだと思います。しかし、太ったパーソナルトレーナーを選ばないという人がいるとすれば、その人に対して指導する機会がないわけですから、結果で納得というところまで行きつきません。

説得力があるかないかというのは、ケースによって様々でしょうけど、「あなたに言われたくない」という感想なら説得力がないと感じている、「あなたが言うなら」という感想は説得力があると感じているということもあるでしょう。

それがパーソナルトレーナー自身の体型なのか、これまでのクライアントの結果つまり実績なのか、理論的で信頼出来る内容なのか、その他を含めて統合した結果なのかはわかりませんが。

見た目は大事?

そう考えると、「例え実力があろうとも、選ばれなければ意味がない」とは言えると思います。そして、選ばれるためには、「見た目は大事」という話もあります。

「見た目」というのは、体型も含まれるでしょうけど、体型だけでもありません。服装、髪型、表情、姿勢(静的・動的)、仕草、清潔感…など。オーラが見える人はオーラも含まれるんでしょうね。

ですから、「見た目は大事」=「体型が大事」とは一概に言えません。様々な要素が統合されたものが「見た目」となるでしょうし、見る人によっても見え方が違うわけですから、「大事」と言っても人によって重視するものが違うと言えます。

「筋量を増やしたい」と考えている人は、「筋量が多いパーソナルトレーナー」を選びやすいかも知れませんし、「なりたい体型」に近いパーソナルトレーナーを選ぶ傾向があるかも知れません。

しかしながら、自分の体型にコンプレックスを抱いている人の中に、そのコンプレックスが際立つパーソナルトレーナーを避ける人がいることも考えられます。

例えば、「太っている」と感じているとして、パーソナルトレーナーがスレンダーな体型であれば、その差が際立つので避けるということです。

また、「自分の気持ちを理解してくれるのではないか?」という理由で、自身と同じような体型のパーソナルトレーナーを選ぶこともあるかも知れません。

当然のことながら、パーソナルトレーナーを選ぶ基準は多種多様であると思います。言語化出来ない部分で、「このパーソナルトレーナーが良い」というのも当然あるでしょうし、相性もあるはずです。

同業者の体型への批判について

「あんな体型のパーソナルトレーナーはダメです」なので「私を選んで下さい」というケースもあるかも知れません。既に書いたように、商売として考えれば、選ばれないと仕事になりませんから、自分以外の選択肢を減らすための振る舞いといったケースもあるかも知れません。

筋肥大を目的としたレジスタンストレーニングの指導を考えた場合、パーソナルトレーナーとしては自分自身がレジスタンストレーニングを実践する必要があると言えます。

やったことのないトレーニングの見本を見せることは出来ませんし、n=1とは言え自身のトレーニングによって気づきを得ることはあると思います。

そのようなプロセスによって、ある程度は自然に相応の体型となるであろう、という考えをもとにすれば、パーソナルトレーナーの体型はその判断材料のひとつと言えるかも知れません。ただそれが必ずしも妥当な判断材料かと言えばそうとも言えません。

同業者と言えども当然人間なので、「あんな体型のパーソナルトレーナーはダメです」と否定することが果たしてどうなのかと、個人的には疑問です。他人のコンプレックスを扱う側面がある専門職が、ターゲットが同業者であれば構わないという感覚なのでしょうか。

また、「あんな体型のパーソナルトレーナーはダメです」と公言するのであれば、その言葉は同業者以外にも伝わることにもなります。ですから、間接的に他の人達をも否定していると捉えられるかも知れません。意図しない人を傷つける可能性があるということです。

体型で相手を値踏みする

「あんな体型のパーソナルトレーナーはダメです」というのは、人柄や知識や技術よりも「体型」が重要である、「体型」が良いことがまず前提である、という捉え方も出来ます。

こういった発言をするパーソナルトレーナーは、「相手よりも体型が優れている」と認識していると考えられますが、「相手よりも優れている部分こそ重要な要素だ」というのは、自身にとって都合の良いルールの設定とも言えます。これ自体を否定するわけではありませんが。

体型は例に過ぎず、「医療資格を持っていることが重要だ」「修士や博士の学位を持っていることが重要だ」など、特に文脈なしに自身に当てはまる要素を並べる、それに当てはまらない人はダメだという論法は時折見かける気がします。

良い悪いという話ではありませんが、こういった個人の都合によって設定した前提をもとにすれば、噛み合わないことも多いであろうと考えられます。

最後に

「パーソナルトレーナーの体型は重要か?」を考えると、重要と考える人もいれば、そう考えない人もいる、ケースによるなど、様々だと思います。個人的には、色々な考え方があるのは自然であり、それも多様性であると考えています。

ただ、「体型」に良し悪しがある、「体型」と人格を結びつける、そういった風潮は危険だと思いますし、パーソナルトレーナー(に限らずですが)であれば他人のコンプレックスを扱う側面があるということ考える必要があると思います。

本人の努力だけではどうにもならないこともありますし、病気や怪我で体型は大きく変わることもあります。自身の体型をそれほど気にしない人もいれば、いつも気にしている人もいるでしょう。同じ人でもどちらも経験していることもあると思います。

目的と手段で考えた場合、「体型を変えることが目的」という見方もありますが、もう少し引いて見ると、「何のために体型を変えたいのか?」ということになります。そのように考えると、体型を変える以外の手段で、目的を達成することが出来るケースもあると思います。

だとすれば、本来手段のひとつであった「体型を変える」ことに捕らわれて、その価値観で他人を見下したり批判するようになるのは、少し息苦しいように感じます。

「なりたい体型を目指す」「なりたい体型になる・近づく」というのは、ポジティブな気分で過ごせる、ポジティブなことが起こる、そういったことも大いにあり得るので、それを否定するつもりはもちろんありません。

ただひとつの物差しで自分を苦しめる、他人を否定する、そういったことに陥らないように、少なくともパーソナルトレーナー(その他の専門職を含めて)として配慮が必要なのではと考えています。

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