(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が管理しています。

トレーニング 指導関連 考え方

障がい者スポーツを視野に入れた理学療法を考える

2018/08/21

とあるスポーツ理学療法の講習会にて

目標に障がい者スポーツを

「普段の臨床で長期目標に障がい者スポーツを掲げていますか?」(概ねこんな感じだったと思います)という問い掛けがありました。

もちろん、対象者によりけりなのは言うまでもありませんが、個人的な解釈としては、「患者さんだからこんなもんだろう」といった、思い込みと言いますか、思考停止した部分がないかと捉えました。

「患者さんだからこれくらいだろう」

「これくらいだろう」というセラピスト側の思考停止によって、ポテンシャルが十分に発揮されずに、勝手な「患者さん」という枠に閉じ込めてしまう可能性があるように感じます。

例えば、屋内・屋外ともに義足歩行が自立したとしても、アジリティやクイックネスはどうか?などに目を向けていれば、内容は変わってくるかも知れません。車椅子であっても同じことが言えると思います。

「基本動作は自立したので、やることがないよね」というのは、果たして本当にそうかということを考える必要があるように思います。

屋外歩行はお散歩か?

気分転換も当然ある

気分転換として屋外歩行をすることは、否定されるものではないと思います。患者さんからすれば、外の空気を吸うこと自体が気分転換になることもあるはずです。

歩行能力はいわゆる健常者レベルといったケースもあるかも知れませんが、屋内歩行では実用性が高くとも、屋外になると実用性が下がるというケースも多いと思います。

屋外歩行の様々な目的

本来ならば、屋外歩行によって、「何を確認したいか?」「どういう練習なのか?」といった目的を明確にして行う必要があります。

目的が明確ならば、意味を持ってコースを選択するでしょうし、患者さんの歩容だけではない部分も観察すると思います。例えば、視線、他の歩行者などへの注意や対応、道のどこを歩くかなど、観察することは色々あります。

会話しながらなど、マルチタスク下での歩行を確認することもよくあるでしょうし、様々なタスクの組み合わせや、そのタイミングを考えることがあると思います。

リハビリテーション室や病棟といった環境では見えづらいことも、屋外で見えてくることはたくさんあると思います。そういうことを考えて屋外歩行を出来るのは、セラピストの専門性のひとつだと考えています。

もう一歩先を意識すること

「マイナスからゼロに近づける」?

「リハビリはマイナスからゼロに近づけるのが仕事」といったニュアンスの言葉を見聞きすることがありますが、あまりその言葉に引っ張られない方がよいと個人的には考えています。

良くなることと良くならないこと、出来ることと出来ないことがあるわけですが、「マイナスからゼロまで」と考えると、良くなる可能性、出来る可能性に目が向かないかも知れません。

例え機能的な改善が見込めなくても、課題をクリアするためにどうやって適応するかを考えると、選択肢は広がるはずです。もちろん、機能的な改善とともにというケースもよくあります。

「ゼロ」は標準を指すのなら

「マイナスからゼロ」という例えは、「ゼロ」は標準(いわゆる健常者レベル※標準も健常者も便宜的表現ですが)ということだと思います。

そうすると、DanielsらのMMTで言えば、「グレード5」のみが標準(正常)となります。その基準からすれば、「患者さんだからMMT4もあれば十分」とはならないと言えます。

いわゆる健常者であれば、ジョギングやジャンプなどが出来るとするならば、患者さんだからという理由で、ジョギングやジャンプが出来るようになる必要はないとはなりません。「ゼロ」が標準(いわゆる健常者)を指すのであれば、このような考え方もあると思います。

パラリンピック

パラリンピック選手のパフォーマンスの高さは、観たことがある人はよくわかると思います。あまりレベルが高すぎると、「イメージがわかない」「あの人達は特別だ」となることもあるとは思います。しかしながら、可能性を目の当たりにする機会としては、これ以上ないように感じます。

パラリンピックのレベルでなくても、日常生活において介助量が少ない・自立している、仕事をしている、スポーツをしている、趣味を楽しんでいる、そういった人達を知ることで、「もう一歩先」をイメージしやすいかも知れません。

「もう一歩先」「もう二歩先」…が、「患者さんだからこれくらい」という、セラピストの思い込みによって見えなくなることは避けたいと思います。

「リハビリだからしっかりやる必要がある」

以前、魚住廣信先生が、「リハビリだからしっかりやる必要がある」と仰っていました。確かに、リハビリ(狭義)が必要なケースということは、何もしなくても解決するわけじゃないことが多いわけです。

本来出来ることを出来ないとしてスルーしても、簡単に出来ることを繰り返しても、目的が明確でない徒手療法をしても仕方ありません。もちろんケースによりますが、適切な課題設定が重要であり、それはある程度は挑戦的である必要があります。

最後に

何でも良くなる、何でも出来るようになるわけではありませんが、セラピスト側の思い込みによって、患者さんのポテンシャルより遥かに低いところで、「こういうものだ」と思考停止しないことが大事だと思います。

そういう意味においては、「障がい者スポーツを視野に入れる」ということは、わかりやすい例えだと感じました。

【参考記事】

◆(リ)コンディショニングメモ

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