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指導関連 用語の定義

PNFストレッチング?〜ホールドリラックス(Hold-Relax)とは〜

2018/08/21

PNFストレッチング

IPNFAにはPNFストレッチングというカテゴリーはない

しばしば、「PNFストレッチング」という名称で、ホールドリラックス(Hold-Relax)とコントラクトリラックス(Contract-Relax)が紹介されていることがあります。

そのため、『PNF=PNFストレッチング(ホールドリラックスとコントラクトリラックス)』という認識が一部でありますが、IPNFA(国際PNF協会)では「PNFストレッチング」というカテゴリーはなく、数あるテクニックの中の一部です。

PNF≠PNFパターン

また、『PNF=PNFパターン』という認識も一部でありますが、これも基本原理のひとつということになります。ピッチャーのためのPNFパターンという型はありません。

これから紹介するホールドリラックスは、パターンを用いた方法で行うこともあります。基本原理とテクニックは組み合わせて行うことが出来ます。

ホールドリラックス(Hold-Relax)とは?

「何が本当のホールドリラックスなのか?」といった話をするつもりはありませんし、極端に言えば名称などはそれほど重要ではなく、臨床において目的に合った手段として、安全に効果的に用いることが出来れば良いと思います。

ここでは、ホールドリラックスという言葉が独り歩きして、それぞれの認識がバラバラということがあると感じていますので、参考としてIPNFAではどのように定義しているのかを紹介します。

ポイント

・対象者の最終可動域まで、もしくは、痛みによる制限の手前まで。

・短縮している筋(群)やタイトな筋(群)を静的/等尺性に活性化させる(direct Hold-Relaxの場合)。

・これらの筋(群)を静的な指示(例えば「そのまま止まって下さい」)を用いて抵抗を加える。

・対象者にリラックスしてもらう。

・新たに得た可動域まで動いてもらう(もしくは他動的に動かす)。

・新たに可動域が得られなくなるまで繰り返して行う。

ホールドリラックスは、対象者がセラピストよりも体格を含めて体力が明らかにある場合、抵抗をかけるのが大変だという話が時々ありますが、実際は静的な指示、例えば「ここで止まって下さい」という指示で抵抗量はあくまでセラピスト側が決めるものですから、ホールドリラックスを行う場合はそういった体力差が、適切な実施の阻害因子になることはあまりないと言えます。

"direct Hold-Relax"と"indirect Hold-Relax"

"direct Hold-Relax"は文字通り、直接的なホールドリラックスです。何が直接的かというと、短縮している、もしくはタイトな筋(群)に対して直接的に行うということであり、つまり対象となる筋(群)を直接的に収縮させた後にリラクセーションを図る方法です。

"direct Hold-Relax"は、対象となる筋(群)の収縮後の弛緩、"Post Isometric Relaxation"であり、「PIR」と略されることもあります。

"indirect Hold-Relax"も文字通り、直接的ではない、間接的なホールドリラックスです。対象となる筋(群)の拮抗筋を収縮させることで、相反抑制により対象となる筋(群)のリラクセーションを図るという方法です。

IPNFAでは"indirect Hold-Relax"はアドバンスコースとしていますので、"direct Hold-Relax"がホールドリラックス、「ホールドリラックス=PIR」という認識もあるかも知れませんが、IPNFAではこのように分類しています。

目的

・(リラクセーションと筋のストレッチによる)関節可動域の拡大

・疼痛の軽減

「疼痛にはホールドリラックスが効果的」という話ではありません。もちろん原因によりますが、疼痛を有する場合は、コントラクトリラックスではなくホールドリラックスを用いるとされています。

その他のポイント

間にリラックスする

抵抗を加えた後、言い換えれば収縮した後に数秒間リラックスすることがポイントです。その際に深呼吸などを用います。また、関節角度はそのまま維持しておきます。

新たな可動域・痛みに対する配慮

リラックスした後に新たに得られた可動域、つまり次の最終可動域まで自動もしくは他動的に動かします。痛みが伴う場合は、痛みの出る前の角度までとします。

次の最終可動域まで自動運動で動かす場合は、"direct Hold-Relax"、"indirect Hold-Relax"に関わらず、相反抑制を期待出来ると言われることもあります。いずれにせよ、対象者の状態や目的に合わせて使い分けるということになります。

抵抗量

抵抗量は最大で行う必要はなく、過剰な努力は要しません。(狙っていない)代償的な動作がみられないよう、注意深く観察しながら実施します。厳密な抵抗量は?というよりも、対象者の反応を確認しながら、行うことが重要だと言えます。

最後に

「ホールドリラックスとはこれだ!」という話ではなく、IPNFAを参考に紹介しました。実際のコースにおいても、臨床的な工夫は講師や参加者で持ち寄ることになりますから、型に当てはめるというものではありませんが、定義や基準を設けることには意義はあると思います。

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