(リ)コンディショニングメモ

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指導関連 考え方

対症療法より原因療法?

2018/08/24

対症療法はダメ?

痛み止めは対症療法だから無意味?

例えば、痛みに対する痛み止めの薬は対症療法と言えると思います。「痛み止めは対症療法だ」という理由で否定する人もいます。

痛みで眠れないといった場合は、睡眠不足に陥って次の日にも影響するでしょうし、精神的ストレスもかなり大きくなると思います。副作用といった話は置いといて、そのような二次的な問題を極力起こさないために、痛み止めが処方されることはあります。

可動域制限があるから?動作の制限になるから?

例を変えます。例えばハムストリングスの伸張性の低下により、SLRの可動域が制限されているとします。程度の問題もありますが、制限されていること自体が良い悪いという話ではありませんが、実際の動作にポジティブとは言えない影響を与えているとすれば、改善した方が良いケースもあります。

SLRの可動域を改善することが目的というよりも、ハムストリングスの伸張性の低下によって、姿勢や動作にポジティブとは言えない影響を与えていると判断した場合に、改善を図るということになると思います。

原因を考えることは必要だけど

レジスタンストレーニングで柔軟性向上?

「そもそもハムストリングスの伸張性の低下をもたらした原因は何か?」ということを考える必要はあると思います。しかしながら、「ハムストリングスのストレッチなどの介入は対症療法だ」として、否定する人もいます。

また、例えば、「ルーマニアンデッドリフトをしていれば、筋力向上だけでなく、ハムストリングスの柔軟性も向上する」という理由で、「ストレッチなどの介入は必要ない」と考える人もいるかも知れません。

そういった効果も期待出来ると思いますが、ハムストリングスの柔軟性を向上させる方法はたくさんあるわけですから、対象者に合ったより適切な方法を選択すれば良いと思います。

新たな可動域を獲得したとしても、その可動域を実際に使っていかなければ定着しないでしょうし、ただ可動域を獲得するだけでは、安定性が不十分になるかも知れません。

レジスタンストレーニングによる柔軟性の向上のメリットとしては、可動域の中での筋力の向上も図ることが出来るということもあると思います。

1つの手段に拘る必要はない

ただ、ストレッチにしろ、レジスタンストレーニングにしろ、1つの種目で十分ということはあまりないかも知れませんから、種目を増やしたり、組み合わせるといったことが必要なケースもあると思います。

「これさえやっておけばよい」という万能なものがあれば良いですが、実際はそんなことはほとんどないですし、それがあるならみんなやってるという話です。

結局は目的と手段

また、可動域が拡大しても、その拡大した可動域を実際の動作で活かしていなければ、あまり意味がないこともありますから、具体的な動作に汎化させるという作業は必要になることも多いと思います。ですから、運動機能がある場合は、可動域と筋力はセットで考えておく方が良いかも知れません。

脊髄損傷などで筋力の要素を除外せざるを得ない場合は、実際の動作、長坐位や長坐位での動作などにおいて、拡大した可動域を活かすということになると思います。

ただ、SLRの可動域を拡大し過ぎると、長坐位が不安定になったり、運動の自由度を阻害することもありますから、どの程度を目安とするのかは、考える必要があります。

先を見据えて今出来ることをする

このように考えていくと、「対症療法はその場しのぎ」ということにはならないと思います。何の目的でどのように達成させるかというプロセスを描けているか、そうでないかの問題だと言えると思います。

これは、ファシリテーションテクニックも同様で、「即時効果」を如何にして、「発達効果」に繋げていくかという、運動学習の観点が必要になると考えています。

ファシリテーションテクニックを用いるからと言って、「促通したからOK」と考えているわけではないはずです。中にはいるかも知れませんが。

ファシリテーションテクニックによって、一時的にでも出来なかったことが出来るようになるということはありますから、その効果が持続している間に獲得したい動作を繰り返すということは、ひとつの方法だと思います。

セミナーなどで、こういった即時効果を「凄いテクニック」というように見せる人がいて、それを治療効果があると受け取るのであれば、個人的にはちょっと違うかなと感じます。

最後に

方法の専門職という側面はあるにしても、目的、目標を達成させる専門職という観点を失わないようにしないと、「対症療法はその場しのぎ」という指摘が正しくなってしまいますね。

考えてみれば、そもそも「原因」が何かが本当に分かっているのか、「原因」に対して本当に直接アプローチ出来るのかということもあります。

長期的な視点を持ちながら、今出来ること、今必要なことを考えて取り組むことが、重要になってくると考えています。

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