(リ)コンディショニングメモ

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運動学習

「ブロック練習」と「ランダム練習」について

2018/08/23

ブロック練習とランダム練習

1日や1週間の単位で、異なる練習を行うことがあります。例えば、ピッチャーがストレート、スライダー、フォークを練習するとか、サッカーで異なるシュート(ボレー、ループなど)を練習するとか、そういったケースはよくある話だと思います。

■ブロック練習とは

ピッチング練習を例に挙げると、ストレートだけを続けて練習し、それを終えたらスライダーだけを練習するといった、1つの課題を続けて繰り返し、それを終えたら次の課題を繰り返すといった練習を、ブロック練習と言います。

■ランダム練習とは

ピッチング練習を例に挙げると、ストレート、スライダー、フォークといった異なる球種を、文字通りランダムに投げるといった練習をランダム練習と言います。

ブロック練習とランダム練習ではどちらが有効?

■保持テストはランダム練習の方が成績が良い?

ブロック練習、ランダム練習ということで考えていくと、スポーツの練習にしても、トレーニングにしても、基本動作練習にしても、当てはめて考えることが出来ます。

運動学習にしても認知学習にしても、ブロック練習とランダム練習では、保持テストの結果は時間が経過していくと、ランダム練習の方がパフォーマンスが高かったという研究があります。

練習中はブロック練習の方がパフォーマンスが高いのに、時間が経過すると効果が逆転するというところがポイントになります。

■ブロック練習は前の試行を参考に出来る

考えてみると、ピッチャーが同じ球種を繰り返して投げることで、前に投げたボールを参考に修正することが出来るので、ブロック練習中はパフォーマンスが高くなりやすいと考えることが出来ます。

つまり、「ちょっと指の引っかかりが違ったな」という感覚を次の投球に活かせるわけですね。もっと身近な例で言えば、ごみ箱に紙くずを投げて入れるということをする際に、「右に逸れた」「少し届かなかった」ということを、次の試行に活かせるということです。

■ブロック練習とランダム練習を使い分ける

例えば、基礎的なフォームをつくるといった段階であれば、ブロック練習を中心に行うことも考えられますし、どちらが良い悪いという話ではありませんが、こういったことを考慮しつつ、目的に応じて使い分けることが必要かと思います。

スキルが未熟ならブロック練習?

■ピッチャーの新しい球種を例に

例えば、これからピッチャーを目指すという人がいるとして、球種はストレートのみです。新たに変化球を習得するために、スライダーの練習に取り組みました。しかし、シュートも習得したいので、スライダーとシュートを合わせて練習するとします。

この場合は、どちらの球種も未熟なレベルであり、思うように変化もしなければ、コントロールも定まらないような段階であることが多いと思います。そういった状態で、スライダーとシュートをランダムに練習していては、どちらも習得に時間がかかる、または困難かも知れません。

スライダーを投げて、イメージした軌道と実際の軌道のずれを修正するというプロセスが、スライダーの習得に必要だとすると、ランダムにシュートの練習を挟むことで、注意を切り替える必要があります。連続して同じ球種であれば、1球前を参考に修正することが出来ますが、ランダムになるとそれが出来なくなります。

■いずれは自動化を目指す

ただし、それが出来ないことが必ずしもネガティブなことではなく、続けて行うよりも認知的な負荷が上がる、つまりよりその運動をどのように行えばよいかを、認知する必要性が高くなりますから、その運動のポイントを探索しやすくなる可能性があります。運動学習が進むにつれて自動化が進むことになります。

トレーニングの場合は?

レジスタンストレーニングにおいて、スクワットで動員する筋群の筋力を効率良く高めたいといった場合であれば、スクワットとデッドリフトをランダムに行うことは目的から外れるかも知れません。デッドリフトを織り交ぜることで、疲労によってスクワットで扱う重量が減る可能性が高くなると考えられます。

フォームを定着させたい場合は、ランダムで行う方法も考えられます。ランダムに行うことで、スクワットとデッドリフトにおける共通点と相違点を認知することが出来れば、フォームの学習にポジティブな影響があるかも知れません。

最後に

スポーツにしても基本動作にしても、何の目的でどのようなパフォーマンスを目指し、どのようにアプローチしていくのか(プロセスを含む)、そういったことを考える際に、ブロック練習とランダム練習という観点は役立つかも知れません。

「ランダム練習はブロック練習よりも優れている」と考えるのは短絡的であるため、練習をどのように行っていくかということを、対象者や目的や段階に合わせて考える必要があります。

その時の練習だけではスキルが上達しているか判断出来ませんので、パフォーマンスの推移を確認する必要があると考えられます。

【参考文献】

・Shea et al:Contextual interference:Contributions of practice. Acta Psychologia,73,145-157, 1990.

・Shea et al:Contextual interference effects on the acquisition, retention, and transfer of a motor skill. Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory, 5, 179-187, 1979.

・Goode et al:The contextual interference effects in learning three badminton serves. Research Quarterly for exercise and Sport,57,308-314,1986.

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