(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

指導関連 考え方

#22 楽しい運動と効果的なトレーニング

2017/09/17

「過負荷の原則」「漸進性の原則」といったトレーニングの原則に則って、「楽な運動は効果がない」「トレーニングはしんどいものだ」といった考えもあると思います。

確かにそういう側面もあると思いますが、それを大前提にするとトレーニングを行うハードルが高くなるかも知れません。例えば、熱心にレジスタンストレーニングをしている人の中には、筋肉痛が出ることに充実感を覚える人もいますが(個人的には嫌いではない)、日常生活に支障をきたす、人によってはそれでQOLが下がることもあり得ます。

そもそも筋肉痛が出現することと、効果的なトレーニングであることは別だと言われていますから、筋肉痛が出現した人に対して、「しっかり効いた証拠です」と言えば、「こんな辛いのは続けられない」と思われるかも知れません。

特に慣れていないトレーニングを行うと筋肉痛が出現しやすいですから、トレーニング初心者が「出鼻をくじかれる」という状態になるのは、トレーニングを継続する上ではあまりポジティブな要素ではないと言えます。

もちろん、「筋肉痛が出現する可能性はありますが、慣れると起こりにくくなってきます」という説明があるとないとでは違いますし、指導者側が「筋肉痛が出ないトレーニングはトレーニングじゃない」と考えていなければいいと思います。特に高齢者だと下肢の強い筋肉痛が転倒のリスクを高めるとも考えられますから、注意する必要があります。

ルーの法則(身体の機能は適度に使えば発達する、使わなければ低下する、過度に使えば低下・障害を起こす)だとか、生理的老化と病的老化(参考記事:【雑感廻り】#33 アンチエイジングについて)を考えれば、適度な運動・トレーニングは必要だと言えます。

しかし運動・トレーニング習慣がなく、特に具体的な目標がない場合だと、いくら根拠のある説明を受けたところで、やりがいを感じなければ続かないと思います。

フィットネスクラブに入会するような人は、運動に対するモチベーションはあると思いますが、「トレーニングはしんどいものですよ」という前提を押し付けられると、もともとあったモチベーションは下がるかも知れません。

ですから、まずは「運動はしないより、少しでもした方が良い」ということで、面白い、楽しい、効果がありそうだと(本人が)感じられるもの、そういったものから取り組むこともひとつの方法かと思います。それが流行りのスタジオプログラムであれば、それも良いと思います(色々なスタジオプログラムにはそれぞれの効果があります)。

熱心に勉強をしている人の中には、自身が考えるよりベターな介入を保留することが苦手な人もいるように感じます。ですが、こういった介入も「漸進性の原則」と考えて、少し長期的な視野を持つことが必要なケースもあると思います。

「面白い」「楽しい」といった内発的な動機を尊重することが大切で、いくら根拠があったとしても「説得」することは逆効果になるかも知れません(参考記事:#20 「アンダーマイニング効果」について)。自身の専門性を最大限に活かすには、タイミングも重要だと考えています。

「健康増進」というのは、ふわっとして抽象的ですが、「楽しい」「面白い」と感じることに取り組むということを考えれば、それは結果的に「健康増進」に繋がると言えるかも知れません。「運動によって気分が良くなる」というのは、それは一つの運動の効果であると思います。

もちろん各種体力レベルが向上するような負荷でトレーニングすることと、両立することは可能だと思いますが、分けて書いています。

運動やトレーニングにおいては、呼吸循環系や筋骨格系に対するメカニカルストレスの話が前面に出ることが多い印象がありますが、気分に与える影響に関しても着目しておいた方が良いと考えています。

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