(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

トレーニング 指導関連 考え方

#23 慣れない運動が必ずしも必要な運動ではない

2017/10/26

「チマチマと運動するより、しっかり負荷をかけてトレーニングすべき」というのは、文脈や受け手の立場によって解釈は違ってくると思いますが、確かに日常生活の方が負荷が高いのではといったケースはあるように思います。

前回の記事(#22 楽しい運動と効果的なトレーニング)で書いたように、それで気分が良くなるといった効果があったりするので、即否定といったことは出来ないと思います。しかしながら、現状の各種体力レベルを向上させるという目的であれば、適切な方法ではないことも多いと思います。

慣れていない運動を効果的と考える

例えば、「ただ慣れていないから上手く出来ないだけで、やっていればすぐに出来るようになる」といった類の運動は色々あるはずです。

「慣れていない運動だから上手く出来ない」ことに対して、「普段使わない部分を使っているんです」「それが弱点です」「アウターマッスルだけ鍛えてもダメなんです」とそれらしいフレーズを鵜呑みにすれば、その運動はよくわからないけど効果があると思うかも知れません。

そういった運動を行うことのメリットを理論的に説明出来ないと、時間がもったいないだけかも知れません。「ただ慣れていないから上手く出来ないだけで、やっていけばすぐに出来るようになる」ようなものなら、もともとその運動を行う能力は有していたということです。

こういったことは、即時効果のあるアプローチなんかもそうで、「ぱっと変わる」から「何か凄そう」「効果ありそう」という印象を与えやすいのですが、「そもそも、ぱっと変わる能力を有していた」ということです。

もちろん、それには知識や技術が必要なことも多いですし、「即時効果(残存効果)を発達効果に繋げる」といった視点があれば、有効な手段になることもあると思います。

慣れていない運動を行うこと、それが出来るようになること、それを積み重ねていくと出来ることが増える(ように見える)ので、何か進化していってるような気になるかも知れません。

もちろん、その過程において、本当に必要な能力が向上していくのであれば良いのですが、そのようなプロセスだけを見て進化しているような錯覚に陥っているだけだと、それこそ時間のムダどころか、パフォーマンスの低下を来たす可能性もあります。

本来の目的ではない学習の成果

極端な例を挙げると、野球選手がサッカーの基礎的なドリブル練習を行い、スキルが向上していけば難易度の高い練習に移行していくといったプロセスです。確かにドリブルが上手くなっていくのですが、肝心の野球のパフォーマンスにどれだけポジティブな影響を与えるかと言えば疑問です。

「ポジティブな影響がない」とは一概に言えないところが、事態をややこしくしているのかも知れません。「ポジティブな影響をいくつか挙げよ」と言われたら、それらしいことはいくつか挙げることが出来るでしょう。

しかし、それが他の方法よりベターなのか、深刻なネガティブな影響(本職のパフォーマンスが低下する)はないのか、そういったことも同時に考えないと、ポジティブそうな部分だけにスポットを当てて、それらしく見せているだけといったことにもなりかねないと思います。

まとめ

専門家も商売であるという側面がありますし、メディアはインパクトのあるものを取り上げますから、断片的な情報のみで評価は出来ませんが、少なくとも専門家であるならば表面的なものに左右されないよう、吟味する必要があると思います。

おかしなことだと思っても、受け手側の視野が狭かったり知識が不足しているだけといったケースもあるでしょうから、切り捨てるよりも保留しておくと、後々になって繋がることもあるかも知れません。

専門職としては、その意味について想像してみたり、それよりもベターな方法はないのかを考えたりと、思考を整理する機会にするのも時に有意義だと思います。

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