(リ)コンディショニングメモ

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トレーニング 考え方

#26 「野生動物はウォーミングアップをしない」という話

2017/09/19

野生動物はウォーミングアップをしない?

「野生動物はいちいちウォーミングアップはしない。そんなことをしていたら食べられてしまう(または獲物を逃してしまう)。」といった話は時々見聞きします。

ニュアンスとしてはわかる気がしますが、まずこの場合のウォーミングアップはどういうイメージなのでしょう。ダイナミックストレッチングやジョグといったことでしょうか。それをしているかどうかは、動物によるかも知れませんし、特定の動物の生態について詳しくないので何とも言えません。

ウォーミングアップせず動ける身体?

こういった話が出る時には、「わざわざウォーミングアップをせずとも、すぐに全力で動けるような身体になるべきだ。」という意見が付随していることもあります。

そのような身体を手に入れることが出来るのであれば、それはそれで魅力的な話かも知れません。夜中に急に起こされて100mを全力疾走した時のタイムと、日中にウォーミングアップをした後に全力疾走した時のタイムが同じということですかね。この場合は、魅力的というより、夜中に全力疾走を強いられることを想像するとキツイです。

そもそも、このウォーミングアップをどう捉えているかということかなと思います。野生動物は弱肉強食の世界で生きていると言えるわけですから、完全に休息することがなかなか出来ないケースも多いのではと思います。

その時点で、心構えという表現が適切かわかりませんが、すぐにでも動けるような準備をしている時間が長いとも言えます。ということは、例えダイナミックストレッチングやジョグはしていなくても、準備状態であると考えればウォーミングアップを既に行っていると言いますか、スタンバイOKの状態であると考えることも出来ます。

野生動物と人間を比較する意味とは?

そのように考えると、「野生動物はウォーミングアップをしないから、人間もそれを目指すべき。」といった意見は少々強引であるように思います。動物によっては立って寝る動物もいますし、イルカなんかは脳の半分ずつ眠るといった話があるので、そもそもが違うこともあるということです。

野生動物の身体能力は確かにインパクトの強いものが数多くあります。しかしながら、「それに比べて人間は…」というのは違和感があります。スポーツのスキルひとつ挙げても、人間が野生動物に比べて身体能力が劣っているとは一概に言えません。

基本動作にも多様性がありますし、スポーツにしても、野球、サッカー、陸上競技、水泳、体操、格闘技など、実に多種多様な運動を行うことが出来ます。ですから、野生動物と人間を単純に比べるのは無理があります。

「野生動物がウォーミングアップをしないことで、怪我をすることがありますか?ないでしょう?」と言われても、「知らない」としか答えられません。そんなに野生動物の生態に詳しくないし、野生動物に会う機会もないし話せないので確認出来ません。

身体操作のレベルを上げると言いますか、出来るだけ良いコンディションを保つという意味では、わからなくもないですが、「ウォーミングアップは要らない」「野生動物はウォーミングアップしなくても怪我しない」といった話になると、ちょっと飛躍しているように感じます。

まとめ

野生動物の生態をもっと勉強すればヒントがあるかも知れませんが、今は特に取り組む予定がないので、野生動物を例に話をされてもあまりよくわからないです。ただ、野生動物が持っていない身体運動のスキルを人間が持っているわけですし、「野生動物はウォーミングアップしないから、人間も必要ない。」といった意見に対しては、少し違和感があります。

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