(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

トレーニング 指導関連 用語の定義 考え方

#38 「ファンクショナルトレーニング」について

2017/09/17

「ファンクショナルトレーニング」という言葉は今もなお見かけるわけですが、個人的であっても定義づけして用いている人もいれば、そうでない人もいるのかも知れません。

個人的には、「ファンクショナル」という言葉を聞くと、川野哲英先生の著書(ファンクショナルエクササイズ.ブックハウスHD,2004.)を思い出します。

内容に関して批評するつもりもないですし、そういう目的で取り上げたわけではありませんが、ストレングストレーニングというよりもアスレチックリハビリテーション寄りの内容です。川野先生自身は、「ファンクション」という言葉を30年以上前から用いられていたようです。

これは個人的な感想ですが、例えば、DanielsらのMMTをそのまま実施して筋力増強運動と謳い、「さて歩きましょう」と言って特に歩容に関してアプローチせず漫然と歩くだけ、もしそういうケースがあるとすれば、もうちょっと考える必要があるのでは?という提言のようにも感じます。

つまり、「ファンクショナルトレーニング」という商品というよりも、そういった提言と捉えることも出来ると思います。提言ということは、世に問うということになります。著書の内容としては、機能解剖学などの知識を確認しながら各エクササイズが紹介されていますから、そういった部分を考慮してエクササイズの動きを考えましょうという意味が含まれていると思います。

(※注 著書を読んだだけで関連の講習会に参加したことがないので、詳しいことはわかりません)

そのように考えると、「ファンクショナルエクササイズ」というのは、「このエクササイズがファンクショナルだ」というニュアンスではないと考えることも出来ます。これは、「ファンクショナルトレーニング」も同じように考えられます。

そもそもファンクショナル(functional)を訳すと「機能的な」、「機能的な」は、「機能が有効に発揮されるさま」といった意味があります。「実用的な」という意味もあります。

そうすると、目的に対して適切な手段であれば、「ファンクショナル」と言えるかも知れませんが、「機能が有効に発揮されるさま」という、「有効に」の程度も実際は考える必要があると思います。

今回は、「ファンクショナルエクササイズ(トレーニング)」は、「(ターゲットとする)機能をより有効に発揮するためのエクササイズ(トレーニング)」と無理矢理定義づけしてみます。

つまり、ある程度有効ではあるものの、「よりベター」があるのであれば、そちらの方が「ファンクショナル」ということになります。ケースによっては併用することもあるとは思いますが、個別性を考慮し、効率、効果、安全性の観点から選択する必要があります。

結局のところ、こう言ってしまえば元も子もないわけですが、「ファンクショナル」という言葉をわざわざ用いる必要はないと言いますか、「今やってるのがファンクショナルトレーニングやで」という認識はそもそも必要ないと思います。

「ファンクショナルエクササイズ」「ファンクショナルトレーニング」という用語を、前半に書いたような提言の意味で使用するのであれば建設的かも知れません。

しかしながら、形骸化・商品化したエクササイズやトレーニングを思考停止して指導するのであれば、無責任だと言えると思います。何故なら、それをするのは本気で結果を求めるクライアントだからです。

「何となく良さそう」「最新だと言ってるから」というものを、ファッション的に指導するのはどうかと思います。そういうものを求めている対象者であれば良いのかも知れませんが。

個人的には、「ファンクショナル」という用語を用いること自体は、良いも悪いもないと考えています。ただそれが幻想や形骸化したものを指して、それを無責任に提供することは個人だけでなく、関連する専門職の信用を失いかねない行為にもなり得ます。

「ファンクショナル」という言葉自体、ポジティブな意味を含んでいるので、「適切な」「正しい」といった言葉と同じように、マジックワードなのかも知れません。

「ファンクショナルトレーニングを行っているのに、ファンクショナルにならない」という事態にならないように、目標としたパフォーマンスに到達しているかどうかを確認する必要があると思います。

ファンクショナルトレーニングに限った話ではないですが、「ファンクショナルトレーニングが上手くなったから、ファンクショナルだ」では本末転倒だと思います。

-トレーニング, 指導関連, 用語の定義, 考え方