(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

運動学習 指導関連 考え方

#43 課題の適切な難易度設定について

2017/09/17

私が初めて勤務したトレーニングジムには、毎日のようにフリーウェイトエリアでトレーニングしている会員さんが数人いました。そこで、よく補助を依頼されました。

駆け出しの頃は特に知識も指導技術も殆どないわけですから、そういった補助をすることで、「仕事をやってる感」もあったように思います。とは言え、トレーニングの補助も技術ですから、当然のことながら簡単ではありません。

補助はリスク管理は大前提ですから、自然と動きを観る必要がありますし、自分自身の安全のためには自身の動きも重要になります。足りない分だけ補うということで言えば、タイミングを合わせること、補助の程度の調節が重要になります。

全く遂行不能な状態なのに、その状態からさらに補助で数回挙上するのであれば、誰のトレーニングかよくわからなくなります。そのような方法がよりベターなケースもあるかも知れませんが、自分自身で挙げることが基本になると思います。

どちらにしろ、補助は必要な時に必要な分だけ行うものだという前提で言えば、いわゆる理学療法のケースでは、例えば基本動作を練習する際の介助も同じだと思います。

その介助は対象者の何の機能を助けているのか、そういったことを考えて行う必要があると思います。とりあえず持ち上げるとか、支えるというだけでは、本来は必要のない介助も含まれるかも知れませんし、むしろ邪魔をしているかも知れません。

出来ないことが出来るようになるためには、出来ることを積み重ねる必要がありますが、その出来ることは簡単すぎてもあまり効果がないことが多いと思います。必要な時に必要な分だけ介助する、現状の能力に合わせて課題の難易度を設定することが重要になると思います。

この課題の難易度設定というのは、体力トレーニングにしろ、動作練習にしろ、重要なポイントになると思いますが、難易度が高すぎる課題を与えて、全く出来ていないことに対して「練習が足りない」というのであれば、指導の問題ということになると思います。

様々なケースが想定されるので一概には言えませんが、出来ないことを何度も練習するということは、出来ないことを学習することにもなりかねません。また意欲の低下に繋がるかも知れません。

「試行錯誤によって上達していく」というプロセス自体は、学習にとって必要であるとしても、それが指導者側の不適切な難易度設定によって、余計な時間と労力を費やすことになるのなら、本来到達出来るはずの能力まで届かない可能性があります。

「試行錯誤の中で得られるものがある」のはそうかも知れませんが、試行錯誤の質もあると思います。試行錯誤するプロセスを、「やってる感」「努力感」「充実感」として、うやむやになってしまわないよう、本来の目的に立ち戻る必要があると思います。

「その試行錯誤したプロセスはきっと将来に役に立つはずだ」とそれらしいことを言っても、それは果たして対象者が求めていることなのかということもあります。間違っているという意味ではなくて、それを前面に押し出す必要があるのかということです。

「やってる感」「努力感」「充実感」を得ることが目的なのであれば良いかも知れませんが、出来ないことが出来るようになるといった目的であるなら、適切な難易度設定は不可欠だと思います。難易度設定は直接的な介助による調整に限らず、言葉掛け、環境設定、補助具の選択(有無も含め)といったことを含めて行うことになります。

適切な難易度設定を行うためには、ほんの少し難易度を上げるもしくは下げるといった調整が出来る必要があります。しかし、どのような動きに導きたいのかということが曖昧だと、目標がないわけですからやることも曖昧になるので、そもそも難易度設定のしようがありません。

また、どのような動きに導きたいかというイメージは、その時点で何らかの介助なりを要したとしても実現可能な動きであるとすれば、対象者の現状の能力をある程度は評価出来ている必要があると思います(そのプロセスも評価の一環とも言えますが)。

そのように考えると、適切な難易度設定と言葉では簡単に言えますが、実際には簡単なことではないと感じます。出来ないことが出来るようになるために、自分自身の課題の適切な難易度設定と実践が必要です。

-運動学習, 指導関連, 考え方
-, ,