(リ)コンディショニングメモ

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考え方

「メディカル系」はマイナスからゼロまでの仕事?

2018/08/25

はじめに

専門職の役割分担

「メディカル系」と「ストレングス系」というカテゴリー分けは、特にスポーツに関わる専門職で見られるように思います。それぞれの専門職がチームとして役割を分担するというのは、スポーツに限らず病院などでもあります。

メディカル系の役割?

マイナスからゼロに近づける仕事?

私の場合は、病院で勤務する理学療法士なので、カテゴリーに分けると「メディカル系」になります。時々見られる例えとしては、「マイナスからゼロに近づける仕事」という表現があります。具体的な実態を知らない人にとっては、イメージしやすいのかも知れません。

しかし、そもそも何が「マイナス」「ゼロ」「プラス」なのか、という部分が欠落したまま、例え話が独り歩きするのは違和感がありますし、ナンセンスだと思います。

入院患者さんを考えると、受傷・発症前と比較して急性期は全体的な心身機能は低下していることは多いと言えます。それを、「マイナスの状態」という比喩を使うこともあるかも知れません。

変形性股関節症を例に

例えば、変形性股関節症によって、疼痛や関節可動域制限を来している患者さんが、人工関節置換術を受けたとします。このケースだと「既にマイナスの状態」という考え方もあると思います。疼痛や関節可動域制限による影響は、全身に波及していますから、股関節だけを観て股関節だけに介入するわけではありません。

結果的に(ある部位の)筋力や柔軟性といった体力要素が向上したり、静的・動的な姿勢が変化したり、術前の疼痛や関節可動域制限によって局所的に増加した努力性やメカニカルストレスを、新たな動作の学習によって分散することによって、動作の実用性が向上することもあります。

手術によって除痛が図れることで、術前より活動性も向上していくことも多いですし、心理的にポジティブな要素も増えるかも知れません。このように考えると、「何がマイナスと考えるのか」によって、観えることが違ってきます。

ネガティブだけでなくポジティブな部分を

「マイナスからゼロに近づける」という例え自体が良い悪いという話ではありませんが、そういう視点にとらわれると、ネガテイブな部分にとらわれて、いつまでも「局所を元に戻す」という思考から抜け出せないこともあるかも知れません。もちろん、局所を観ることは重要だと思いますが、それが(便宜的な)全体に良い影響があるのかという視点も同時に必要だと思います。

「メディカル系はマイナス面に関わる仕事」という部分はあるにしても、マイナス面だけにとらわれずに、如何に適応させていくか、如何に運動学習を図っていくかという視点と、その為に必要なことを評価し介入する必要があると思います。例えばそれが、筋力や柔軟性といった体力要素だとすれば、マイナスからゼロではなく、プラスにしていくことが求めらることもあると思います。

オーバーラップする役割

例えばスポーツにおいて、メディカル系とストレングス系の専門職が、それぞれ役割を果たす中で、ある体力要素において、ゼロからプラスへの介入はストレングス系だということもあると思います。

しかし、病院で勤務する理学療法士であれば、「ゼロからプラスは私の専門ではありません」では、患者さんが良くなる可能性をわざわざ減らす行為になります。

スポーツ整形に力を入れているような病院だと、S&Cコーチのような専門職が勤務していることもあります。個人的にはスポーツ整形に限らず、いわゆるアスリートではない患者さん(運動器に限らず)であっても、目的に合って適応するフィジカルトレーニングを指導する能力は、理学療法士も持っておくに越したことはないと考えています。

念の為に断っておきますが、「S&Cコーチも出来る」という話ではありませんし、当然ですがS&Cコーチの仕事は出来ません。フィジカルトレーニングに限らず、自分の置かれた立場で出来ることをする、出来るレベルを上げていくという話です。

繰り返しますが、そもそも何が「マイナス」「ゼロ」「プラス」なのかという話になります。例えば、「筋力」といった要素だとわかりやすいと思います。

しかし、例えば病院で勤務する理学療法士だと、全ての患者さんが良くなる(便宜的表現)わけではないですから、ICFの観点であったり、そもそも「身体とは何か」「動けるとはどういうことか」といった哲学的な部分も含めて考える必要があると思います。

最後に

こういった話は、それぞれの立場で違ってきますから、何が正しいとか間違っているという話ではありません。同じ専門職であっても見解が違うことがあるのは、当然だと思います。あくまで、私個人の考えの一部であることは、ご了承下さい。

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