(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が管理しています。

考え方

「治療よりも予防が大事」という類の話

2018/08/25

治療より予防?

以前、あるパーソナルトレーナーの方が、「予防の方が大事だと思っている」と仰っていました。確かに、受傷や発症を未然に防ぐという視点は重要だと思います。

ただ、「◯◯よりも△△が大事」といった話は、具体的なケースを想定して考える必要があると思います。先ほどのパーソナルトレーナーの方は、(俗に言う)リハビリを必要とする状態になることを防ぐべきだという考えでした。

確かに適切な運動やトレーニングによって、疾病によっては予防出来る可能性は高まります。しかし、完全に予防出来るとは言えないですし、そもそも疾病は数多く存在し、原因も様々であり、先天性のもの、不明とされているものもあります。

自律神経のバランスを整える?

安保徹先生の著書

故安保徹先生の免疫に関する一般向けの本はたくさんありますが、上記の本もそのひとつです。分かりやすく書かれていますし、確かに参考になる部分もありますが、分かりやすいということは、複雑な免疫系の話を端折っているということでもあると思います。

「すべての病気は自律神経のバランスを整えれば治る」と解釈する人もいるようですが、そういった話を鵜呑みにするのは危険だと思います。個人的には養生のヒントみたいな認識です。

何でも防げる?自己責任?

生活習慣病にしても、「生活習慣を見直せば罹患しない」「罹患するのは自己責任だ」といった極端な主張もあります。しかしそれは名称に引っ張られ過ぎているという印象があります。

また、「風邪をひくのは自己管理がなっていないからだ」という話もありますが、風邪に限らず個人因子のみに原因を求めるのは無理があると思いますし、個々でも心身の特徴や傾向は異なるはずです。

例えば仕事だと、「体調管理がなってない」と責める上司が、普段から過度なプレッシャーを与え続けていたり、過度な業務量や成果を求めているのであれば、その上司も原因のひとつかも知れません。もちろんこれも、個々によって違うわけですが。

予防は確かに大事ですが

発症や受傷の原因は様々

最初の話に戻りますが、「予防の方が大事」と言っても、事故、事件、自傷など、医療を必要とするケースに至った原因は様々です。例えば、「交通事故の予防」だと、ドライバーにとどまらず、自動車などの車両、環境、制度、それらを含めたテクノロジーに話が及びます。

そういったことに取り組む人達は様々な分野で存在しています。そして、起こったことに対して迅速に適切な対応、処置を行う人達もいるわけです。

ひとつの方法や専門職だけでは無理

「リスクを全て排除し予防する」ことが理想かも知れませんし、それを目指す、近づくように取り組むことは必要だと思いますが、現実的には困難であり、起こったことに対して対応する人達(人間だけではないですが)も必要です。

つまり、何かひとつのもので全てが解決するのであれば良いのですが、現実はなかなかそういうわけはいかないことも多いと思います。臨床でも「これさえやればOK」といったアプローチがあるなら、みんなやってるはずです。

選択肢は多いに越したことはない

運動を行う空間のひとつであるフィットネスクラブにしても、「実際に運動が必要な層は来ない」という話もありますが、フィットネスクラブに行ける人が利用出来る場があるというのは、それはそれで大事なことだと思います。

「◯◯でフィットネスクラブ要らず」といった謳い文句もありますが、フィットネスクラブだから出来ることはあるはずです。フィットネスクラブというワードを他のワードに置き換えることも出来ます。

ひとつのもので全てを解決しようとするよりも、選択肢を増やすことで、より多くの人が活用出来るようにするという視点も必要だと考えています。

最後に

専門職としても、身体はひとつしかないので、あれもこれも出来るわけではありません。1 on 1の指導だけでなく集団指導、ネットなどを利用した情報配信など、アイデアはたくさんありますが、1 on 1で対応する必要があるケースに対して集団指導を行うことは適切ではありません。

結局は「自分の置かれた立場で出来ることをする」ということになると思います。それは、「他は関係ない」という態度ではなく、視野を広げてそれぞれの専門性や関係性を理解しようとすること、時に連携することも必要だと思います。

そのように考えていくと、簡単には「○○よりも△△が大事」といったことは言えません。ましてや自身の正当性や優位性を主張するために、他を批判する、貶めることはナンセンスだと思います。

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