(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

考え方

#63 「あのパーソナルトレーナーの指導は普通だ」

2017/09/05

フィットネスクラブで勤務していた頃、ちょうどパーソナルトレーナーを導入するクラブが増えてきた時期がありました。パーソナルトレーナーといっても、バックボーンは様々で、いわゆる得意分野も様々です。

「ジムスタッフとパーソナルトレーナーは何が違うの?」という疑問は、会員さん、そしてスタッフもわからないというケースがあり、ジムスタッフの指導は無料なのに、わざわざ有料のサービスを受ける必要があるのか、という疑問も存在しました。

ジムスタッフよりも知識や技術がある、そういう専門家が60分なら60分、付きっ切りで指導するサービスであるという説明がなされることもありました。この辺りはその他たくさんの観点がありますが、今回は特に掘り下げることはしません。

トレーニング指導の質というのは、当然のことながら、提供する側によって大きく変わりますし、そうであれば結果も大きく変わると考えることが出来ます。しかしながら、その違いというのは、会員さんからすれば、見た目が同じように見えるのか、なかなかわかりづらいかも知れません。

そこで、何かわかりやすい違いを示さなければ、サービスを受けてもらうことが難しいということで、「身体の歪みチェック」「身体調整(という名の徒手療法)」といったものを、イベントなどで体験してもらうというケースがありました。それをきっかけとして、契約する会員さんも多くいました。

何を提供するかという話は、パーソナルトレーナーとクライアントさんの間の話なので、倫理的、法的な問題がないのであれば、特に外野がとやかく言うことでもないと思いますし、外野からは詳しいことはわかりません。

ただ、一部では、「身体調整(という名の徒手療法)」が出来ることが、パーソナルトレーナーの条件であるような見解や、「身体調整(という名の徒手療法)」が出来るパーソナルトレーナーが一流であるような見解を持つ人もいたように思います。

結局のところ、クライアントさんの目的を達成する上で、必要なアプローチ、した方がより良いケースであれば、「身体調整(という名の徒手療法)」を取り入れることは、特に不自然なことではないと思います。

メディアは健康や医療に関する情報を、インパクトを持たせて発信することがあります。例えば、何か風変わりなエクササイズやトレーニングを紹介されると、受け手によっては「何か効果がありそう」と感じるかも知れません。

本来は、その専門家がそう感じるのはどうかということもありますが、以前、あるトレーニングジムのスタッフが、「パーソナルトレーナーの◯◯さんは、普通のトレーニングしか指導していない」と、否定的なニュアンスで言っていたのが印象的でした。

そもそも、「普通のトレーニングとは?」というところですが、内容としては、スクワットなどのいわゆるベーシックなトレーニングと言われるものを中心としたものでした。

何か特別なもの、珍しいものを提供する人が専門家かと言えば、そうではないと思いますが、そう考える人がいるのは事実としてあるように感じます。だからと言って、特別なもの、珍しいものを提供することを否定するつもりはありません。

理屈を理解すれば、特別なものに見えていただけ、珍しいものに見えていただけで、狙いとしては理に適っているということもあると思います。ですから、外野から見ているだけではやはり分からないことも多いと思います。

何かしらの手段を用いている場合は、その目的があるわけですから、その目的の達成に対して適切かどうかということになります。少し細かい話をすれば、その目的の設定自体がどうなのかということはありますが、ここでは触れないでおきます。

まとめると、手段に普通とか、特別とかがあるわけではなくて、目的があって手段があるということ、手段が目的に合っているか、よりベターなものはないかということが大事だと思います。

また、同じことをしているように見えても、指導者の言葉の選択、対象者の動きなど、ポイントをひとつずつ確認すると、全然違うことはよくあるはずです。長期的な視野で観ているのかどうかといったこともあります。

スクワットにしろ、立ち上がり練習にしろ、内容を一言で表すと同じでも、中身が違うということに目を向ける必要があります。「パーソナルトレーナーの◯◯さんは、普通のトレーニングしか指導していない」と言っていたジムスタッフのような思考だと、見た目が明らかに違うものに「何か良さよう」と思うかも知れません。

結果的に風変りに見えることはあるかも知れませんが、風変りなものをすることが目的になるとすれば、それは本末転倒になりますね。特に目的はなく風変りなことがしたいという要望があるなら、それもありかも知れませんが。

-考え方