(リ)コンディショニングメモ

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トレーニング 指導関連 考え方

抽象的な目標に対する手段の選択について

2018/08/22

具体的な目標や目的はなく、いわゆる健康増進のために、予備力を向上させるための手段としてトレーニングを指導することは、簡単ではないと思います。

例えば、明らかな心身機能・構造レベルに問題があるケースであれば、アプローチも明確になりやすいかも知れません(簡単という意味ではないです)。しかし、特に日常生活で困っていることがない、体力の衰えを自覚していない、そういうケースでは、「健康増進」「健康寿命を延ばす」といった抽象的な目標から、具体的な手段を選択することになります。

それだと飛躍していると感じるからかはわかりませんが、体組成計による測定、体力テスト、姿勢や動きの評価などを行って、その結果から具体的な手段を選択するというシステムを導入しているクラブもあるようです。

このような方法が良い悪いという話ではありませんが、例えばその結果から、「過体重だから体重を減らしましょう」「この体力種目の成績が基準値より低いので頑張りましょう」といった、一方的に与えられた目標になる可能性はあります。

その目標を達成することが、「健康増進」「健康寿命を延ばす」といった目標に繋がるのかどうか、トレーニングを行う動機になるのか、そういったことは考慮しておいた方が良いように思います。

フィットネスクラブには、「体型を変えたい」「(ボディビルなどの)コンテストに出たい」「お医者さんに運動を勧められたから」「健康のために身体を動かしておいた方が良いと思って」「ストレス解消に」など、色々な動機の会員さんがいます。

目標が明確だと手段も明確にしやすいですが、「健康のため」といった場合だと、先ほど書いたような測定や評価をした方が、その結果を根拠に手段を選択するというように材料を得ることが出来ますから、個別性を重視するために面談に時間をかけて、必要だと考える評価や測定をして、プログラムデザインをするということに比べるとハードルは低くなるので、導入しやすいということもあるかも知れません。

「適度な運動は身体に良い」というのは、良く言われているわけですが、具体的に何をどのようにするかという部分においては、いちから考えるのは結構難しいように思っています。

前回の記事(#3 オリエンテーションのトレーニング種目)に書いたように、例えば、「レッグプレス」「チェストプレス」「ラットプルダウン(またはシーテッドロウイングなど)」の3種目は、基本種目であるという前提を作っておくのも、それはそれで良いと思います。特にフィットネスクラブでは、マシンなどの設備があるわけですから、それを上手く活かす方法を考える必要があると思います。

その3種目「だけ」行えば事足りるという意味ではありません。そうではなくて、選択肢が多すぎるとそこから選択するという手続きが多くなるわけですから、それだけコストを伴うことになります。自由になるほどコストを伴うということです。経験豊富な専門職は、そのような処理をより短い時間で適切に行うことが出来るかも知れませんが。

その3種目を基本種目であるという前提で、あとは何らかの理由で1種目減らすだとか、別の種目と入れ替えるもしくは加えるといった手続きだとコストが少なく済むので、経験豊富な専門職でなくとも対応しやすいと言えると思います。

スクワット、デッドリフト、ベンチプレスを「ビッグ3」と呼ぶのも、そういう側面で考えることも出来ます。「何故ビッグ3なの?」と、指導者なら何度か自問自答し、疑いながらも、「でもまあ、よく出来た種目かも知れん」というように、ベストとは考えていないにしろ、選択肢に入る可能性の高い種目になっているといったケースは多いように思います。

そのような過程を繰り返しているような専門職であれば、その種目を指導している中で、姿勢や動きの特徴を捉えることも出来るでしょうし、個別性を考慮した指導が出来るといったこともあるはずです。

今回の内容をまとめると、特に抽象的な目標の場合は、手段を選択するのが難しいかも知れませんから、ある程度固定した上位候補を持っておくことも良いのではという話です。

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