(リ)コンディショニングメモ

主にトレーニング、理学療法、リハビリテーションに関することについて。理学療法士が書いています。

トレーニング 指導関連 考え方

#5 足首が固くてスクワットが出来ない?

2018/01/09

スクワットが浅くなるのは足関節だけの問題?

足首が固いからしゃがめない?

スクワットをする際、「足首が固いからしゃがめない」という話をよく聞きました。足関節の背屈制限によって下腿が前傾せずにしゃがめない、という意味だと思います。

足関節背屈の参考可動域

足関節背屈の参考可動域は20°です(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会, 1995)。文字通り「参考」可動域ですから、何らかの既往がなくても、20°より背屈する人もいれば、20°に満たない人もいます。

様々な関節が関与する

しゃがむ動作を考えると、足関節は背屈、膝関節・股関節は屈曲していきます(実際には純粋な背屈、屈曲ではないですが)。足関節を極力背屈させずにしゃがもうとすると、股関節と膝関節の屈曲角度を大きくする必要があります。

言い換えると、股関節と膝関節の屈曲角度を大きくすることで、足関節の背屈角度が小さくても、ある程度しゃがめるということになります。実際には股関節の外転や外旋角度によって違ってきます。

各関節の動くタイミング

反対に体幹を垂直位に保ち、膝関節の屈曲を中心としたしゃがみ動作では、足関節はすぐに背屈の最終可動域に到達することになります。ということは、足関節、膝関節、股関節の動くタイミングや、それぞれの関節角度によって、しゃがむ深さは変わってくるということになります。それ以外の要素もありますがここでは割愛します。

足首が柔らかくなればしゃがめるのか?

本当に可動域制限があるのか?

「足首が固いからしゃがめない」ということは、足関節背屈可動域が参考可動域に満たないから、しゃがめないという意味だとすると、ゴニオメーター(角度計)で測定した結果、20°に満たなかったということになりますね。

「スクワットで上手くしゃがめないのは、足首が固いからです。しっかりストレッチして下さいね。」というアドバイスを座って受けている会員さんやクライアントさんの姿勢を見る限り、足関節の背屈制限はなさそうだということもあるかも知れません。

ストレッチしても深さは変わらないかも知れない

こういうケースで辛いのは、アドバイスを忠実に守ってストレッチなどに励んでいるのに、一向に上手くしゃがめないということです。「○○が出来ない=△△に問題がある」と丸覚えするようなことでは、いつまで経っても上手くいかないかも知れません。今回の例で言えば、上手くしゃがめない理由は、その人によって違うと思います。

足関節背屈制限は可能性のひとつに過ぎない

「○○が出来ない=△△に問題がある(ことがまあまあある)」というくらいに留めておくと、あるケースにそれは当てはまるのかを確かめるという作業を加えて、その中で新たに得られる情報があるかも知れません。

「○○が出来ない=△△に問題がある」と決めていては、確かめることなく△△に対してアプローチすることになるかも知れません。今回の話は、「しゃがめない=足首が固い」と考えることです。

まとめ

「足首が固いとしゃがめない」というセリフに対して、「本当にそうか?」「しゃがむってどんな姿勢?」と考えを広げていく作業というのは、個人的には大事だと思っています。例えば、踵を浮かせてしゃがむことも出来ますから、その場合は背屈どころか底屈位になるかも知れません。

また、本当に足関節の背屈制限があるのかを確認しないまま、「しゃがめていないから足首が固いに違いない」と考えるのも問題です。それだと、可動域制限がないのにあることにして、手段を提示することになりますから、時間と労力の無駄になってしまいます。

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